小原 ゆかり|Yukari Ohara

小原ゆかりさんは、東京学芸大学で多様な素材にふれる中で金属に魅力を感じ、金工の道へと進まれました。金槌ひとつで平らな金属板が立体に変わっていく、その手応えに惹かれたと言います。
大学時代に出会った茶道は、その後の制作にも大きな影響を与えました。五島美術館の茶会で出会った金工の茶道具師・長谷川まみさんや、一望斎春洸(長谷川竹次郎)氏の作品との出会いが、茶の道具を作るきっかけとなりました。
現在は、自宅に設えた茶室で身近な人とともにお茶を楽しみながら、日常に寄り添う道具づくりを続けています。現代の暮らしにも、古い道具にも調和する金工作品が、静かなお茶の時間をそっと引き立ててくれます。


南鐐中節茶杓です。
銀の板を即興で叩いたり曲げたりして仕上げた形です。型を使っていないので、偶発的に生じる地金の形や表情をお楽しみいただけます。

節上は樋のように内側に曲げ、節下は反対に上面が凸になるように曲げることでより竹の雰囲気に近くなりました。

櫂先はゆるめの撓め、よく見るとわずかに二段撓めになっています。露は一文字、左側を少しだけ余分に削り、非対称に仕上げています
色は元々の白い銀の色を生かしています。
時間が経つと空気中の硫黄分により少しずつ黄色から茶色、黒へと変化、育っていきますが、気になる場合はクレンザーを歯ブラシにつけてこすっていただければ、白を保つことができます。軽い色は重曹でも同様に落とせます。

銀のさまざまな表情が楽しめ、古いお道具にもモダンなお道具にも合わせやすいと思います。



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サイズ:縦18cm、横約0.9cm、高さ約1.4cm
素材:純銀