『紫蓮さん』の作品を見ていると、この色はどこで見たのだろうと考える。
いつかの澄んだ空気の中のキラキラと光る水、お散歩で見た庭に咲き誇る花の色、
優しく静かな湖の色、心震わせた絵画の色・・・。記憶の中の景色と繋がっていく。
きっとこの器を使うことによって、新しい景色になり、記憶になっていく。
『紫蓮さん』が美しい色を出す為に、何度も何度も失敗と成功を繰り返し生まれてきた色は、独自に研究した釉薬でとても繊細で、何度も色を重ねて焼いています。
同じように焼いても違う色になったりする為、全て一点ものです。


片口碗・萌黄と名付けられた作品。
意図的に「歪み」などを持たせた形状は、茶の湯の美意識における「侘び寂び」の表現。軽やかで涼しげな印象も与えています。

茶筅を振ってみましたが、お茶が点てやすい底の形状になっています。
注ぎ口も水切れが良くて◎

片口碗は数人分の抹茶を一度に点て、カップに注ぎ分けておもてなしが出来ます。
そのまま飾っても美しい存在感の器です。


ところどころ銀彩が施されて洗練された印象です。
銀彩は焼き付けではなく漆でつけられています。





15.1cm、12.8cm, 高さ8.4cm